ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の重要な同盟者であるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領がモスクワの戦勝記念日の式典を早めに退席したと伝えられて以来、同大統領の健康状態についての憶測が高まっている。

ロシア指導者のウクライナ侵攻が広く非難される中、プーチン大統領を支持してきたルカシェンコ氏は5月9日、モスクワの祝賀行事に登場した。戦勝記念日は、ロシアでは大祖国戦争として知られる第二次世界大戦中のナチス・ドイツの敗北をモスクワが祝う日である。 プーチン大統領は再び毎年恒例の祝賀行事の主役となり、軍事パレードを伴う赤の広場で演説を行った。

一方、ルカシェンコ氏は右腕に包帯を巻いた姿がイベントで写真に撮られており、出席した国家元首の中でプーチン氏の無名戦士の墓への献花に参加しなかった唯一の国家元首だったことから、同氏の健康状態についての憶測が高まっている。 その後、プーチン大統領や他の指導者との食事には出席せず、健康上の理由から早めにミンスクに戻ったとされる。

大統領がベラルーシの首都に戻った後、公の場に姿を現すことを避けているため、大統領の健康状態に関する憶測が飛び交う中、ベラルーシ政府は口を閉ざしたままである。

4月6日、モスクワでの会議で話すベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領。ルカシェンコ氏がロシアの戦勝記念日の祝典を早々に退席したことを受け、ここ数日、健康状態に関する憶測が高まっている。
ミハイル・クリメンチェフ/スプートニク/AFP、ゲッティイメージズ経由

ウクライナ内務大臣顧問のアントン・ゲラシェンコ氏は土曜日、ルカシェンコ氏がそれ以来全く公の場に姿を現さないのはなぜかと疑問を呈した。

「モスクワでの5月9日、ルカシェンコは体調が悪そうで、手に包帯を巻いて早めにミンスクに向けて出発した。ベラルーシに戻った彼は、5月9日の演説を初めて行わなかった。それ以来、ルカシェンコは公の場に姿を現していない。彼の欠席は、 「これはベラルーシの非公式メディアで一番の話題だ。今日、ルカシェンコと側近たちがある種のインフルエンザに罹患しているという情報が出た。興味深い」とツイートした。

ベラルーシの野党政治家パーベル・ラトゥシュカ氏も土曜日、ルカシェンコ氏の安否を疑問視した。

「ルカシェンカが行方不明になった。4日間行方不明だ。病気だったのか、毒を盛られたのか、それとも仮装をしているのか?」 彼はツイートで尋ねた。

作家ヴォロディミル・トレチャク氏は金曜日、「モスクワで体調が悪くなったとの5月9日の報道の後、ルカシェンコ氏を見た人はいるだろうか」とツイートした。

ニューズウィーク ルカシェンコ氏の事務所に電子メールでコメントを求めた。

ルカシェンコ氏はプーチン大統領の重要な同盟者であり続ける

ルカシェンコ氏の事務所は、5月9日のモスクワ訪問以来、いかなる行事も含め週間スケジュールを更新していない。ルカシェンコ氏はウクライナ戦争中、プーチン大統領の最大の支持者の一人であり、ロシア軍がベラルーシ国境からウクライナに入るのを許可したことさえある。 同氏はまた、ロシアとウクライナに対し、「前提条件なしで」戦争を終わらせるための交渉のテーブルにつくよう求めた。

ベラルーシの軍事演習に煽られて、ルカシェンコ氏はウクライナ侵攻に軍隊を投入する可能性があるとの憶測もここ数カ月高まっているが、同氏はこれを確認していない。 ルカシェンコ氏は2月、ベラルーシが「少なくとも1人の兵士がベラルーシ領土に来て自国民を殺すなら」戦争に参加すると述べた。